ギョニソのお話。
魚肉ソーセージです。お魚の肉(実?)が、実(じつ)はどんだけ入ってるか、そういうことはまあ。たんぱく質含有量、とか。今は気にしないで先へ行きます。昔からあるメーカーのやつが美味しいです。何かで読んだのですが、今もほとんど手作業に近く作られている「ギョニー」があるとか。
そのままでも食べられる、でも、ギョニー(昨日ほうもんしたブログの主さまが、こうネーミングされていて、笑った、笑った))の美味しさは、油とマッチングされたときに発揮されるのです。
愛してやまない漫画家・西原理恵子。時に激しく下品ではあるが、ほぼすべて、全部、読んでおります。天才やわ。その西原が、愛おしそうに描いていた、子どもの頃のギョニーの思ひ出。
安いピンク色のその魚肉ソーセージを、薄くうすーく切ります。お母さんが、前に使って缶の中にしまっておいた食用油を、多めにフライパンに注ぎ入れ、熱し、小学生のサイバラは、頃やよし、とばかりソーセージを降らして行く。菜箸で(かどうかは知りませんが)、カリッツカリになるまで炒める。
どんなに美味しかったか。一度ならず、ギョニソへの愛を、語っていました、サイバラ。
東海林さだお大先生も書いておられます。小学生の頃に疎開を経験しておられる、この方も天才。大天才。
東京の大学生になって(早稲田の露文(笑))、下宿生活を続けて。キャベツをいためたり玉ねぎを炒めたりサバ缶(当時は非常に安価な食べ物であった)をおかずにしたり。時々、何かの拍子に少しだけフトコロに余裕があると、近所の定食屋で「レバニラ炒め定食」にありついた。ありつけた。大切に食べた。「頼むぞ」と言い聞かせながら食べた、食後、当分ダイジョブ、な気分になったと。
レバニラにまで到達できない日には「ソーセージ定食」を。魚肉ソーセージを、斜めに切っただけのもの、千切りキャベツと共に。どう見ても、ひとり分、一本には満たなかったと。マヨネーズかけて。これも美味であったと。
そして最近、コンビニで売っている食べ物漫画の本で、「しーちゃんのごちそう」なる漫画にハマる仕儀となりました。たかなししずえさんという漫画家の描く「しーちゃん」と、そのご両親や、昭和の時代の房総半島の人々の暮らしや食べ物が、とてもたまらない。
しーちゃんが可愛い、しーちゃんのお父さん、お母さんが、すんばらしい。私は「サザ〇さん」などのホーム漫画を、さして好まない非国民人間なのでありますが、しーちゃんは可愛い、大好き。そのしーちゃんの漫画の中にも、魚肉ソーセージは出現しておりました。
ソーセージといえば魚のすり身のそれ、ピンク色で、赤茶色のビニールに包まれていて、てっぺんは何か金具で絞められていて、そういうソーセージ。の、学校給食に出されていたという、細いタイプ。
しーちゃんのクラスの男の子、いま名前が出て来ません、仮に食べ夫クン、としておきます。
食べ夫は、給食平らげるのがものすごく早い。ががっと食べ終えて、クラスの皆の、食べきれずに残すパン、同じく千切りキャベツ、小さいチーズや、ソーセージ。何でもかでも「これくれ」「これ欲しい」と集めまくる。しーちゃんたち女の子が。食べ夫の正体を知りたくて下校時について行く。家には、幼い弟と妹がいて、兄ちゃんお帰り、と、食べ夫を待ち構えている。そんな弟妹に、食べ夫は、戦利品のソーセージを渡す。貸してみろ、と、てっぺんの金具部分を齧り取って、むきやすくして渡してやる。弟妹はおお喜びで、わーい、と食べる。パンは犬にやり、キャベツは鶏のエサになる。
また持って帰ってやるからな、と、田んぼに仕事に出かけている両親を待つ間、食べ夫は、弟妹の優しい兄ちゃんをしている。
しーちゃんたちは「給食時間、落ち着けないけど食べ夫、いいとこあるじゃん」と納得して、というエピソードでした。
その「ギョニー」が、丸ごと入った揚げパン、の写真を、そのブログで見せていただいて。あああああ、これ食べたあい、と、狂おしくなったわたくし。
油好き人間として生きて来た幾星霜、今も好き、天ぷらもフライも。でも、好きだから、に負けて貪りますと、あと、ミズカラが苦しむ年頃になってしまいました。家では揚げ物しない。残り物多くなるから。換気扇も汚れるから(おいおい)。外で、油の新しいであろうお店で、時々(がっつり)、いただくような暮らしが、沁みついてしまいました。
中にチーズや竹輪やソーセージの仕込まれた揚げパン。なかなか遠い食べものになって・・。イライラさせるのが狙いですかぁ、のフレンチや、目には綺麗だけどチマチマの会席やら茶事の折に出るママゴトみたいな・・あああバレてると思いますが私、めんどくさい食事、楽しめないかわいそーな人なんです。目の前で焼いてくれるステーキとか、イヤ。カウンターで食べるお寿司も楽しめない。ウンチク垂れられるのがイヤ。私を、お願いだから放っておいて、と望むのですわ。まあ、めったにそのごときお食事に接することは無いのですが。
ピロシキが好きで、食べたくて、なかなかコレ、というそれに巡り合えなかった時は悲しかったなあ・・・。
・・・とか、書き始めたら眠れなくなりそうです、とにかく、ギョニソの入った揚げパン、食べたくて食べたくて、だった昨夜。
今日、ありつけました。うふふ。美味しかった。ギョニーの揚げパン、美味しかった。噛めばパリッと羊腸の破れる音のする、そんなソーセージは、この際、邪道なのですわ。ギョニソの揚げパン、美味しかった・・・
夢中で書いてしまいました、今夜。「ジョニーへの伝言」も唄いました。。