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2018-12-06 (Thu) 20:29

うたはいいなあ。

   ・つながれしままに眠れりはじめより犬のかたちに生まれしのみに

大西民子という歌人のうたです。

つながれたままで、犬は眠った。初めから犬の形に生まれて来たから、だから(このコは)、つながれたままで、そんな状態で、眠るのだ。

・・この歌人には、次のようなうたもあります。

   ・夢のなかといへども髪をふりみだし人を追いゐきながく忘れず

夢の中といえども、この私が、髪を振り乱して人を追っていた、そんなことをしたのだ、この私が。現実の「私」は、髪を振り乱して人を・・・不実な夫を・・・追うことなどしない。できない。夢の中のことよ。と言いつつ、そんな夢を、ながい間、忘れないでいる、と。

技巧的に、自分のところに戻ってこない夫に対する思いを詠んでいる、プライドの高い自分を恃み、かつ、自嘲・・かなしんでいるのです。

   ・かたはらにおく幻の椅子ひとつあくがれて待つ夜もなし今は

この一首が、代表作といわれているようです。

結婚したけれど、初めての子は死んでしまった。夫は家に帰って来なくなった。同居してくれていた妹も、亡くなった。

大西民子は、ひとりの人でした。すばらしい短歌をたくさん残しています。

上にあげた「椅子」、幻の椅子、は、まことに幻なのか、胸の中に在る椅子なのか、「待つ」ということの、凝縮したコトバなのか。

もしかして「一人」でない生き方も選び得たかもしれません、が、大西民子は。一人である自分であったからこそ、歌人・大西民子だったのでしょう。

家族は、あればいいものでなく、あらねばならぬものでもない。よく知っていたひとなのでしょう。

   ・一本の木となりてあれゆさぶりて過ぎにしものを風と呼ぶべく




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最終更新日 : 2018-12-07

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