うたはいいなあ。
2018年12月06日 公開
・つながれしままに眠れりはじめより犬のかたちに生まれしのみに
大西民子という歌人のうたです。
つながれたままで、犬は眠った。初めから犬の形に生まれて来たから、だから(このコは)、つながれたままで、そんな状態で、眠るのだ。
・・この歌人には、次のようなうたもあります。
・夢のなかといへども髪をふりみだし人を追いゐきながく忘れず
夢の中といえども、この私が、髪を振り乱して人を追っていた、そんなことをしたのだ、この私が。現実の「私」は、髪を振り乱して人を・・・不実な夫を・・・追うことなどしない。できない。夢の中のことよ。と言いつつ、そんな夢を、ながい間、忘れないでいる、と。
技巧的に、自分のところに戻ってこない夫に対する思いを詠んでいる、プライドの高い自分を恃み、かつ、自嘲・・かなしんでいるのです。
・かたはらにおく幻の椅子ひとつあくがれて待つ夜もなし今は
この一首が、代表作といわれているようです。
結婚したけれど、初めての子は死んでしまった。夫は家に帰って来なくなった。同居してくれていた妹も、亡くなった。
大西民子は、ひとりの人でした。すばらしい短歌をたくさん残しています。
上にあげた「椅子」、幻の椅子、は、まことに幻なのか、胸の中に在る椅子なのか、「待つ」ということの、凝縮したコトバなのか。
もしかして「一人」でない生き方も選び得たかもしれません、が、大西民子は。一人である自分であったからこそ、歌人・大西民子だったのでしょう。
家族は、あればいいものでなく、あらねばならぬものでもない。よく知っていたひとなのでしょう。
・一本の木となりてあれゆさぶりて過ぎにしものを風と呼ぶべく
大西民子という歌人のうたです。
つながれたままで、犬は眠った。初めから犬の形に生まれて来たから、だから(このコは)、つながれたままで、そんな状態で、眠るのだ。
・・この歌人には、次のようなうたもあります。
・夢のなかといへども髪をふりみだし人を追いゐきながく忘れず
夢の中といえども、この私が、髪を振り乱して人を追っていた、そんなことをしたのだ、この私が。現実の「私」は、髪を振り乱して人を・・・不実な夫を・・・追うことなどしない。できない。夢の中のことよ。と言いつつ、そんな夢を、ながい間、忘れないでいる、と。
技巧的に、自分のところに戻ってこない夫に対する思いを詠んでいる、プライドの高い自分を恃み、かつ、自嘲・・かなしんでいるのです。
・かたはらにおく幻の椅子ひとつあくがれて待つ夜もなし今は
この一首が、代表作といわれているようです。
結婚したけれど、初めての子は死んでしまった。夫は家に帰って来なくなった。同居してくれていた妹も、亡くなった。
大西民子は、ひとりの人でした。すばらしい短歌をたくさん残しています。
上にあげた「椅子」、幻の椅子、は、まことに幻なのか、胸の中に在る椅子なのか、「待つ」ということの、凝縮したコトバなのか。
もしかして「一人」でない生き方も選び得たかもしれません、が、大西民子は。一人である自分であったからこそ、歌人・大西民子だったのでしょう。
家族は、あればいいものでなく、あらねばならぬものでもない。よく知っていたひとなのでしょう。
・一本の木となりてあれゆさぶりて過ぎにしものを風と呼ぶべく
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