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2019-03-06 (Wed) 19:46

バイト志願


あのコはどうしているんだろ。

・アルバイトさせて下さい、とやって来て。ああ、ごめんなさいね、募集していないの。せっかく来てくれたのにゴメンね。と、ワタシが、せめて数のハンパなビー玉でも、と後ろを見たトタンに、レジ(祖母の裁縫箱を流用)前の色とりどりの小さなピアスを幾つか、ぱさ、とつかんで、出て行こうとした、あのコ。淡々とした堂々としたマンビキだった。わかるのよ、そういうの。

呼び止めて、お手々ひらいてみて、と開かせたら、ピアス三つ、握ってしまっていた。

「これ、あかんやん」

商品を取り返して、透明な袋に五つ入ったビー玉、代わりに握らせてあげた。

「よそでこんなんしたら、アカンよね、そう思うでしょ」

って言ったら、コクっとうなずいて、すんませんでした、とアタマ下げて、店を出て行った。


・アルバイトさせて下さい、と、そのコも、ある日、やって来た。バイトは募集していなかった。人手を頼む時は、私なりのやり方で、そうしていた。ごめんねえ、と、彼女にも、断った。

え。いや。色の白い背の高い彼女は、言った。

「私。この店ならバイトできるのですが」

しっかりした口調。え、でも、うちは今、募集していないので。と、言った、私は。

「あ。いや、私できるんです、ここなら。親も、この店ならいいと言うと思います」

「はあ」

「女性の客がほとんどで、扱うものも綺麗で、観察したのですが、夜は七時過ぎまででしょう。ここならアルバイトできるのです、私」

どんどこ押してくる。引く気は見えない。

市内の、有名な国立の女子大の、学生だとのこと。どなたにせよ、わが店では、要らないんだよお。

最後はきっぱり、言わせてもらった。

「あなたのご都合はどうでも、私の店ではアルバイトさんは現在、不要なのです。以上」

よかったらまた、お客さんとして、のぞきに来て下さったら。など、私にしては愛想よく、したつもり。彼女は、きっぱりに対して、きっぱりと応えた。

「ああ、はい、私、こういうなんか、少女じみたものは、好みませんので」

はあ。ほいそうですか、ってなもんだい。さすがにムカッと来た、なんだこの失礼な娘は。

話はもうおしまいだ、とばかりに、グラスの棚の方へ逃げて、一つを取って磨き始めた。

必要になったら連絡してもらってかまわないのですが、と、何やら紙片を渡そうとする。用意してきたものらしかった。

「寮の電話番号です」

悪気も何もない、つぶらな真っ直ぐな目・・・あああ、だからどうだっていうんだ。その紙片は、お返しした。

妙に鮮やかに覚えている。

あれから、かれこれ、二十年近い。

どうしているだろう、あのコ、そして、あのコも。

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最終更新日 : 2019-03-06

* by ゴネコ
仕事帰りの電車の中で(今日は奇跡的に寝ていない)読んでます。

なんとまぁ、見事な人生スケッチか。
人間観察の確かさ、一コマの切り取り方、鮮やかな短編小説の材料になるものに触れたようか気がしています(なんか偉そうだな、ゴネコ…)。

アルバイト志願のお嬢さん、KUON様とのやりとり、人生の風景ですね。感心しきりの私です。

その某女子大生は… * by まーきち
多分、私よりチョイ下の世代の、国立N女子大のお嬢さんですね。

容易には入れぬ難関校の筈なのに…。

しかし、そういう所にたまにいるんですよね、不思議ちゃん(苦笑)。

N女子大ほどではありませんが、それでも関西ではお嬢さん学校と呼ばれていた我が母校の同級生にも、私の祖母の前で胡座をかき肘をついて遠慮なくすき焼きの肉を頬張る約一名。

ご両親教育者の、立派なお家のお嬢さんの筈だったのですが。

そんな彼女はバブル崩壊も就職氷河期も何のその、立派なご両親のお力で、何の苦労もなく事務系公務員となりました。

いやはや。ぼやき失礼しました。




No title * by sarah
こちらは、ちょっと春めいてきました。
お師匠のお住まいの辺りはいかがですか?

お師匠の文章は、いつも不思議なんですけど、
書かれている光景が、そのまま映像になって脳内に現れます。
まるで映画のワンシーンのように。

一人目のコは、
ショートカットの髪で、セーターを着ていて、鋭い視線を持つコ。
二人目のコは、
ポニーテールに結って、白いブラウス、黒のショルダーバッグを抱え込むように持っているコ。
私が見た映像の中のコたちです。

鮮やかなワンシーンといえば、
成田三樹夫という俳優をご存じでしょうか。
もう亡くなって久しいのですが、彼が演じたシーンが、今でも鮮やかに憶えているのです。
藤原頼長という役で、主役や準主役でもなく、登場時間もそれほどあったわけではありませんでした。
当時は彼のファンでもない(まだ十代でした^^)のに、どうして今でも憶えているのか・・・。

最近、偶然が重なり、ふと検索してみましたら、このドラマは1972年のNHKの大河ドラマ『新・平家物語』でした。
さらに検索して、この俳優の奥深さを知ることとなり、彼の句集も今日、届きました。

静かさや千々に乱れし夢を喰え
闇に光るけものの眼の如き恋ありき
六千万年海は清いか鯨ども

https://shimojun.com/doctor-blog/2017/04/19/%E4%BF%B3%E5%84%AA%E3%80%80%E6%88%90%E7%94%B0%E4%B8%89%E6%A8%B9%E5%A4%AB%E8%AB%96/

長々と書いてしまいました。
これから、ETV特集『原発事故 命を脅かした心の傷』を見ます。

忘れられないことがある一方、忘れてはいけないこともあります。
月日の流れの速さに足元をすくわれないようにしたい、です。

No title * by まめはな
失礼な年下の同性に対しても
KUONさんは温かいです…

ふたつの出来事とも、
映画のワンシーンのように
心に残りました。

No title * by KUON
・ゴネコさん

あれこれ考えているんです。今はとにかく、自分の中から出て来るものを、アトランダムに書いて行って。あと、まとめられたらいいなあ、と。

セリフを書くのは好きです。情景設定とセリフがイケるからシナリオ書いたら、と勧められたりもしたのですが。魅力ありますよね。ただ、シナリオの行間まで全部、自分で書きたいよなあとか思って。

当分、アトランダムに書きます、後のことは後で考えるよお(笑)。

・まーきち さん

ホント、こういう不思議ちゃん、偏差値とかいっさい、関係ないですね。純正の不思議ちゃんはまだしも、不思議ちゃんをよそおうってのが、一番どうしようもない。そういう方もおられました。今ここで、唐突に申し上げよう。もういいから、こっち来るな。そんな感じ。爆笑。

N大。その通り、新潮社のモテ女、中瀬女史も出られた学校。

書いておられるようなヒト、こういうのも知ってる。某・おとなしい系の新興宗教のトップさんチのお嬢さん。ハズレてはりました。何度もマンビキした女の子を、もう許さないよとつかまえて、家にTELした。お母さまは、大変悲しそうに、そのコはできそこなっているので、自分は迷惑している。ワタシは くに〇ち出ていて、主人は〇大、兄は優秀なのにそのコは・・・と。呆れた最低の母上でした。けっこうありますよね、そういうのも。例のマサコさんも、そんなパターン。育ちの悪さは隠しようない。バレないと思うんでしょうね。バレるよ(笑)。はたが迷惑。本人たちはけっこ平気だったりして。
いろいろ勉強させてもらいましたが「ヤンキーになりたい」と真面目に言っていたあのコ、幸せになっているといいなあ。

.sarahさん

いささかご無沙汰。お変わりなくいらっしゃいますか。成田三樹夫さん、お顔もよく覚えています。俳句をしておられたのですね。

男の俳句、という感じ、無季俳句。ザクっと切り込んで雰囲気ありますね。私は「平家物語」好きですので、紹介して下さっていたところ、飛んで読ませてもらいました。ちょっと長かった・・・ごめんあそばせ。
イメージは、ほぼ、そういう感じです。

福島には、今は年に一度しか行っていません。現場の方からあれこれ話を聞いています。薔薇子さんたちはお元気なようです。首相の「アンダー・コントロール」の声は、しっかり記憶の底にあります。
また・・

・まめはな さん

若い方が、そこそこ失礼なのは、そんなに腹もたちません。だいたい、怒りへの沸点というか、線が、ちょい変わってるかな、と。そこまでは長い、そんなに怒ったりしないでいる、でも、超えたら、どっしゃああん。みたいな気がします。

昔みたいに自分を抑えることも少なくなり。ぼあああああん、と、暮らしている気がや、違うのかな・・・

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仕事帰りの電車の中で(今日は奇跡的に寝ていない)読んでます。

なんとまぁ、見事な人生スケッチか。
人間観察の確かさ、一コマの切り取り方、鮮やかな短編小説の材料になるものに触れたようか気がしています(なんか偉そうだな、ゴネコ…)。

アルバイト志願のお嬢さん、KUON様とのやりとり、人生の風景ですね。感心しきりの私です。
2019-03-06-22:32 * ゴネコ [ 返信 * 編集 ]

その某女子大生は…

多分、私よりチョイ下の世代の、国立N女子大のお嬢さんですね。

容易には入れぬ難関校の筈なのに…。

しかし、そういう所にたまにいるんですよね、不思議ちゃん(苦笑)。

N女子大ほどではありませんが、それでも関西ではお嬢さん学校と呼ばれていた我が母校の同級生にも、私の祖母の前で胡座をかき肘をついて遠慮なくすき焼きの肉を頬張る約一名。

ご両親教育者の、立派なお家のお嬢さんの筈だったのですが。

そんな彼女はバブル崩壊も就職氷河期も何のその、立派なご両親のお力で、何の苦労もなく事務系公務員となりました。

いやはや。ぼやき失礼しました。



2019-03-06-23:04 * まーきち [ 返信 * 編集 ]

No title

こちらは、ちょっと春めいてきました。
お師匠のお住まいの辺りはいかがですか?

お師匠の文章は、いつも不思議なんですけど、
書かれている光景が、そのまま映像になって脳内に現れます。
まるで映画のワンシーンのように。

一人目のコは、
ショートカットの髪で、セーターを着ていて、鋭い視線を持つコ。
二人目のコは、
ポニーテールに結って、白いブラウス、黒のショルダーバッグを抱え込むように持っているコ。
私が見た映像の中のコたちです。

鮮やかなワンシーンといえば、
成田三樹夫という俳優をご存じでしょうか。
もう亡くなって久しいのですが、彼が演じたシーンが、今でも鮮やかに憶えているのです。
藤原頼長という役で、主役や準主役でもなく、登場時間もそれほどあったわけではありませんでした。
当時は彼のファンでもない(まだ十代でした^^)のに、どうして今でも憶えているのか・・・。

最近、偶然が重なり、ふと検索してみましたら、このドラマは1972年のNHKの大河ドラマ『新・平家物語』でした。
さらに検索して、この俳優の奥深さを知ることとなり、彼の句集も今日、届きました。

静かさや千々に乱れし夢を喰え
闇に光るけものの眼の如き恋ありき
六千万年海は清いか鯨ども

https://shimojun.com/doctor-blog/2017/04/19/%E4%BF%B3%E5%84%AA%E3%80%80%E6%88%90%E7%94%B0%E4%B8%89%E6%A8%B9%E5%A4%AB%E8%AB%96/

長々と書いてしまいました。
これから、ETV特集『原発事故 命を脅かした心の傷』を見ます。

忘れられないことがある一方、忘れてはいけないこともあります。
月日の流れの速さに足元をすくわれないようにしたい、です。
2019-03-06-23:31 * sarah [ 返信 * 編集 ]

No title

失礼な年下の同性に対しても
KUONさんは温かいです…

ふたつの出来事とも、
映画のワンシーンのように
心に残りました。
2019-03-07-09:54 * まめはな [ 返信 * 編集 ]

今も夢見る No title

・ゴネコさん

あれこれ考えているんです。今はとにかく、自分の中から出て来るものを、アトランダムに書いて行って。あと、まとめられたらいいなあ、と。

セリフを書くのは好きです。情景設定とセリフがイケるからシナリオ書いたら、と勧められたりもしたのですが。魅力ありますよね。ただ、シナリオの行間まで全部、自分で書きたいよなあとか思って。

当分、アトランダムに書きます、後のことは後で考えるよお(笑)。

・まーきち さん

ホント、こういう不思議ちゃん、偏差値とかいっさい、関係ないですね。純正の不思議ちゃんはまだしも、不思議ちゃんをよそおうってのが、一番どうしようもない。そういう方もおられました。今ここで、唐突に申し上げよう。もういいから、こっち来るな。そんな感じ。爆笑。

N大。その通り、新潮社のモテ女、中瀬女史も出られた学校。

書いておられるようなヒト、こういうのも知ってる。某・おとなしい系の新興宗教のトップさんチのお嬢さん。ハズレてはりました。何度もマンビキした女の子を、もう許さないよとつかまえて、家にTELした。お母さまは、大変悲しそうに、そのコはできそこなっているので、自分は迷惑している。ワタシは くに〇ち出ていて、主人は〇大、兄は優秀なのにそのコは・・・と。呆れた最低の母上でした。けっこうありますよね、そういうのも。例のマサコさんも、そんなパターン。育ちの悪さは隠しようない。バレないと思うんでしょうね。バレるよ(笑)。はたが迷惑。本人たちはけっこ平気だったりして。
いろいろ勉強させてもらいましたが「ヤンキーになりたい」と真面目に言っていたあのコ、幸せになっているといいなあ。

.sarahさん

いささかご無沙汰。お変わりなくいらっしゃいますか。成田三樹夫さん、お顔もよく覚えています。俳句をしておられたのですね。

男の俳句、という感じ、無季俳句。ザクっと切り込んで雰囲気ありますね。私は「平家物語」好きですので、紹介して下さっていたところ、飛んで読ませてもらいました。ちょっと長かった・・・ごめんあそばせ。
イメージは、ほぼ、そういう感じです。

福島には、今は年に一度しか行っていません。現場の方からあれこれ話を聞いています。薔薇子さんたちはお元気なようです。首相の「アンダー・コントロール」の声は、しっかり記憶の底にあります。
また・・

・まめはな さん

若い方が、そこそこ失礼なのは、そんなに腹もたちません。だいたい、怒りへの沸点というか、線が、ちょい変わってるかな、と。そこまでは長い、そんなに怒ったりしないでいる、でも、超えたら、どっしゃああん。みたいな気がします。

昔みたいに自分を抑えることも少なくなり。ぼあああああん、と、暮らしている気がや、違うのかな・・・
2019-03-08-19:55 * KUON [ 返信 * 編集 ]