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2019-04-05 (Fri) 20:33

ザツコちゃんのいらいら

         ザツコちゃんのイライラ   「バイコ」

イメージ短歌 「なんでなの このワタクシの一人子(ひとりご)が この子バイコよ 不条理きわまる」

              のっぽん国の次代オエライ妃に代わりて    何茶手くおんの詠める


部屋のドアをノックしているのは、バイコ。それはわかる。他の誰もが、この時間の(日替わりですよ、とにかくザツコが目覚めたタイミング)雑子の部屋のドアをノックする権利を有してはいないのだ、でもバイコは来る、まったく予期していない時にも来る、勝手に来る、であるから雑子はイライラする。

イライラするが、コーヒーは欲しい。

雑子は行動に出た。まず、コーヒーを運ばせる。同時に、バイコに、後で来るように伝えさせる。今日は・・今朝は・・とにかく今は、娘に会いたくなんか無い。母親の朝の静寂の邪魔をする権利など、バイコには無い。そのように雑子は考え、リンを鳴らしたら顔を伏せて入って来た者に、伝えた。

「お母さまは忙しいのだから、勝手に来てはいけないと言いなさい」

しつけは大切だ。言うべきことは言わなくてはならない。よし。なのに、コーヒーと共に、余計な情報がもたらされて来て。

①今日は午後二時から〇〇の開会式に出てあげる予定が入っている。夫の丸臣は既に、用意万端ととのって自室にスタンバイしている。

②バイコ様は今日は学校へ向かわれなかった、朝から雑子様のお目覚めをお待ちでいらした。

①に関しては、即答できた。出ません。これから着替えて顔つくって、住まいから出てどこかへ行けと言うのか。無理。できない。丸臣は一人で行けばいい。以上。

②に関しては。いらっ。いらいらいら。どうして学校へ行かないのか。学生は学校へ行くものではないのか。また、不登校だのなんだの云われる。毎月カゼひいてるとか。まあでも、行ってもどうでも、大した変わりはない。しかし自分に迷惑をかけることは許し難い。休むなら休むで、一人で好きなことをしていればいいではないか。

とにかく、当分はノックの音はしなさそうな状況を創り上げた。がっくりと疲れて雑子は、大ぶりのカップのコーヒーに向かう。

バイコ。

一人娘のことを想う。バイコ。あの子、あの子を私は、かわいいのだろうか。

よくわからないのだ。生まれた時は確かに、私の子だった。抱いて退院した。落とさないように気も使った。おめでとう、などとも声をかけられた。住まいには子どものための部屋が用意され、養育係が何人もつけられた。若くして生んだ子でないから・・と、当時は、慮ってくれる声もあった、初めての育児はさぞ、お大変であられましょう、とか。そうよそうよと雑子はうべない、私は大変なのだから、養育係がいるのだからと、夜中にバイコが泣いても、起きる気にはならなかった。

産んであげただけでも感謝して欲しいものだわ。それが雑子の気持ちの底の、大きな思いだった。

丸臣。マルみたいな男と結婚して。考えてみればダマされたみたいなものだった。マルの祖父は、ワタシとの結婚には反対だったそうな。私のおじいさまが、ひどい公害をひきおこした企業の責任者だったことで。皆の総意は得られないだろう、とか言って、反対したそうだ。ジジイが生意気な、と、私は、気分を害した。母方のおじいさまは私には、最高の祖父だった。祖父の悪口は許さない。しかもそれを、堂々と、結婚の反対の理由にするなんて。はっきりさせておきたいが、私の方から望んだことなど無かったのだ。何やら、そういうことになって行って。マルがどうしても私と、と、熱望したハナシになっていて。

でもホントは、私のお父さまなどがあれこれ考えて、諮って、おぜん立てして・・とか、言う人もいて、ホントのことはわからない。ただ、週刊誌で読んで私には気に入った話。

「ヒデンカになって、世界のいろいろな国と外交をされるのも、あなたのキャリアを生かすことになると思うのです」

とかマルが言って、ワタシが「そうだわ」とかその気になって・・とかいう、あの話。マルがそんな洒落たこと言ったのかどうか、わからない、そんなのどうでもいい、私は、しょっ中外国へ行けるなら・・いい待遇で行って、いい待遇で迎えられて、って旅行ができるなら「いい話だわ」と思ったのは、事実。外国へ行くのは好き。用が無くても好き。両親が赴任している国へ、通うみたいに行ったものだわ、洗濯物とか詰めて。そういう暮らしができるなら、と、私を思わせた、私はダマされたみたいなものだわ。

結婚したら、まず、子どもはいつ生まれるか、そればっかり。冗談ではない。私はたぶん、子どもを好きではない。可愛いとも思わない。婚約してから、友人役の知人の家へ行って、写真や動画を撮った。キッチンで撮った動画は、さんざんなワルクチを言われた。火のついたままのガス台を、布巾で拭いていたとか。布巾かけに、使って汚れた(はずの)布巾をかけて、それは、くるんと回転して落ちた、とか。もう、どうでもいいことを、ネチネチやられた。台所の仕事なんか知らないわ、私は。

その家の子どもを・・男の子だった・・抱っこしたりした、可愛い子だったけど、ほっぺたは何かで汚れていたし、撮影が長くかかったので、おむつの匂いがぷんぷんして。

・・とにかく。降りかかるように、子どもの話。いつか。まだか。そろそろか。マルの父親が「みんなが待っていますよ」とか。早く子どもを授かるといい、みたいなことを口にした時は、逆上しました。どうしてそんな無神経なことを言えるの。私の友人の中に、そんなこと言う人はいません。言い返してやった。何なの、あの無神経、無礼、失礼。

医者まで私に干渉してきた。基礎体温表をつけて下さい、提出して下さい。とか。そんなプライベートなことを、言われている自分に腹が立った。無視することにした。とにかく。私は、子を産むためにマルと結婚したように、急かされ続けたのだわ。

三年は産まないと、口に出すと、なんとも喧々囂々。ぼろくそだった。外国へもなかなか行けず。

あちらへ入ったら、どんな贅沢も思うがまま。はっきりそう言った母を、恨んだ。好きな服なんか、ちっとも、買えなかった。そんなことより何より。

あの男の子どもを、産め、産め、産みなさいと。強制され続けることが、どんな辛いことだったか。地獄だったか、屈辱だったか。

夜が近づくと、ふわふわ、そわそわする夫。イヤで嫌で耐えられない。たまらない。だから、早い時期から、同じ時間帯に生きていることを避けた。マルにとっての夜、私には、朝に。昼夜を逆転させるしかなかった。それももちろん、よくは言われなかった。

そんな中で、バイコは生まれた。

珍しいことに、雑子の好きなヨーロッパへの訪問の話があって。何が何でも行きたい、行こう、と弾んだ。弾んで、出かけた。お腹に宿っているもののことは、黙っていた。言えば行けなくなる。大丈夫だ。子を身ごもったのは初めてのことではなかった。動き回ったからと言って、流れるような子はいなかった。何とか、消して、いなくなった子は、いた、何日かのことでどうにかなるはずがない・・だったのだが、流れてしまった。

雑子なりにショックだった、と言って、嘘ではない。既に結婚して三年どころのことではなかった。

雑子は挫折を覚え、実家の両親にもプレッシャーをかけられるハメになり。医師の言ういろんなことも受け入れ、イヤな治療も受け入れ、そして、生まれたのが、バイコだった。

バイコ。

あの子を、ワタシは、かわいいのだろうか。それがわからない。わからなくて、ずっと来た。

・・・もう一本、煙草を喫おう。






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最終更新日 : 2019-04-05

* by ゴネコ
戯作者KUONさま、面白いです。
まっこと面白いです。
胸がスカッとします。

* by アルジェリマン
ザツコちゃん、自分の子供のニオイ、忘れたのでしょうか。

自分のダンナ、そうとういやだったのでしょうか。
ドウキンしたくないほどに。
そこんところは一瞬同情しました。

前回のタイトルが「その前日」だったので、
これから何がどうなるのだろうと、ワクワクドキドキ。
タバコ2本吸って、あと1本吸って、
ザツコちゃん、あんた、今度は何を思い出すの、と。

妙にザツコちゃん寄りになってる自分が・・・変。

* by KUON
・ゴネコさん

うふふ。面白いというてもろたら、やっぱり嬉しゅうごぜいますのことよ。

四月中、できれば書いて,後は、自覚の無い人間の惨状を見物、時々はね。イジワル魂が震えるのことよ。

・アルジェリマンさん

某・宮内庁のお方によれば、結婚したその日から別室にてお休みあそばした、この結婚は失敗であった、と。

イヤな男とドウキンは無理、と言っても。お父さまに、あの家に押し込まれてしまったんですから、責任はそっち方面に、と思いますね。なまじ若い頃に、好みのタイプのあんなんやそんなんと、楽しく(かどうかは知りませんが)経験を重ねられたようで、そーゆー意味でも30歳目前の結婚には、祝意が少なかったのでは。

>妙にザツコちゃん寄りになってる自分が・・・変。

(笑)。そういうご意見も、私には楽しいです。性格行動が〇〇過ぎて、あまり同情されないヒトではありますが。ジンケンなんぞ無視の生き方にはめられてしまってね。
皇族に、一般的に言う「人権」は、無いのですが。

それを補って余りある特権をご享受ですが、皇族はセレブでも無し、いびつな立場の方々のはずなのですが。

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戯作者KUONさま、面白いです。
まっこと面白いです。
胸がスカッとします。
2019-04-06-12:42 * ゴネコ [ 返信 * 編集 ]

ザツコちゃん、自分の子供のニオイ、忘れたのでしょうか。

自分のダンナ、そうとういやだったのでしょうか。
ドウキンしたくないほどに。
そこんところは一瞬同情しました。

前回のタイトルが「その前日」だったので、
これから何がどうなるのだろうと、ワクワクドキドキ。
タバコ2本吸って、あと1本吸って、
ザツコちゃん、あんた、今度は何を思い出すの、と。

妙にザツコちゃん寄りになってる自分が・・・変。
2019-04-06-17:22 * アルジェリマン [ 返信 * 編集 ]

今も夢見る 

・ゴネコさん

うふふ。面白いというてもろたら、やっぱり嬉しゅうごぜいますのことよ。

四月中、できれば書いて,後は、自覚の無い人間の惨状を見物、時々はね。イジワル魂が震えるのことよ。

・アルジェリマンさん

某・宮内庁のお方によれば、結婚したその日から別室にてお休みあそばした、この結婚は失敗であった、と。

イヤな男とドウキンは無理、と言っても。お父さまに、あの家に押し込まれてしまったんですから、責任はそっち方面に、と思いますね。なまじ若い頃に、好みのタイプのあんなんやそんなんと、楽しく(かどうかは知りませんが)経験を重ねられたようで、そーゆー意味でも30歳目前の結婚には、祝意が少なかったのでは。

>妙にザツコちゃん寄りになってる自分が・・・変。

(笑)。そういうご意見も、私には楽しいです。性格行動が〇〇過ぎて、あまり同情されないヒトではありますが。ジンケンなんぞ無視の生き方にはめられてしまってね。
皇族に、一般的に言う「人権」は、無いのですが。

それを補って余りある特権をご享受ですが、皇族はセレブでも無し、いびつな立場の方々のはずなのですが。
2019-04-12-19:24 * KUON [ 返信 * 編集 ]