水無月のうた
水無月のうた、ありがとうございました。
おてもやん の詠める
○自粛中庭で育てたミニトマト色づいた実を孫が数える
○ミニトマト葉っぱの奥の赤い実をしゃがんでちぎり孫に持たせる
〇いちにぃさん しぃごぅろくひち 、なな個ある 四歳になり数も上手に
アルジェリマン の詠める
つややかなクチナシ咲くは雨の朝 甘い匂いは重くまつわる
蒸し暑く土を潤す雨の中蝶が揺れ飛ぶクチナシの花
無残やな クチナシの白ひからびて錆びた茶色よ 匂いも消えて
黒犬と水田を渡る風を見る 吠え立てる小犬やり過ごしつつ
honyanko の詠める
☆学名は水の器の意味と知り雨の紫陽花かがやきをます
☆マスクしてフェイスシールド装備して美容師髪を静かに切れり
☆三月ぶり美容院にて髪を切り不要不急のことを愛しむ
☆お手をせぬわんこの脚に手を預けお手ができたとおさなご笑う
☆ピリオドを打つが苦手な我ゆえに気後れしつつ百合に惹かれる
KUON の詠める
・吾子と同じめぐみとふ名の女の子拉致されて産みし子の名キム・ヘギョンとや
黒猫アビ の詠める
・自衛隊ブルーインパルス「ありがとう」
感謝を込めて青空みあぐ
・生活の変化のせいかストレスが
知らずにたまり血圧上がる
まめはな の詠める
・さわやかな風はシーツをはためかせベランダに立つ我は船乗り
・見るもののなき中ひたすら馬走る飛び散る汗もそのまま走る
・窓開けて網戸をわざとずらしつつ迷い込みいしクモを逃がしぬ
・固く閉じたつぼみのすき間こじ開けておしべ這い出て百合花開く
・洗濯物抱くようにして外すなり日差しをそのまま抱き取るごとく
・青空をそのまま取り込む心地して梅雨の晴れ間の干し物はずす
かりそめ の詠める
〈紫陽花の〉
*紫陽花の今年も碧く咲きてをり百余の窓の見下ろす径に
*湿りをもカメラはしかと捕らへをり紫陽花うたた浮世より離(か)る
*道の辺に白紫陽花の並びをり梅雨の日時計時を刻まず
*紫陽花の写真と歌をためておくスマートフォンは小さき巨人
*紫陽花を好きと言ひたるテロリスト癌患ひて治療中とふ
ギボウシ の詠める
....
<東洋武術の師との再会>
・ご近所の道場閉鎖を奇貨として 仏蘭西の師とリモート稽古
・平然とアラサンの師 Zoom操りて はにかみ語る 武の幽玄を
(※アラサン=アラウンド傘寿)
・水際で往き来重ねし人なれば 虚実明滅 祈るが如く
<巣ごもり歴30年の日常>
・水無月に入りて目覚めしアマリリス 悠々と伸び 優々と咲く
・ベランダの床に寝そべり俯いて咲く赤花を仰ぎ見る初夏
おおやま よしの の詠める
雨毎(ごと)に 紫陽花の色 美味くなる
蝸牛らは 寄りて楽しむ
愛でた人 去んで二年の 夏椿
主人なくとも 輝きて咲く
幾星霜 同じ軒下 巣をかける
同じ命に あらぬツバクロ
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十年も カイコ育てて いますとや
さぞ美しき 絹地織りなむ
何をかや 言われてもなお 黙々と
ノブレスオブリージュ 果たす春宮
アルジェリマン
波紋立ちウシガエル鳴くただ三声 なおも黒犬歩を進め得ず
紅バラと黄バラ咲く家花便り集めて歩く今朝は涼しい
白萩 の詠める
いつの間にここまで大きくなったのか おむつのサイズを変えて実感
しとしとと雨のそぼ降るこんな日は「雨だれ」を聴き篭る日にせん
梅雨晴れに自転車駆けり 行き先は友か恋人かワンピースの娘(こ)
手ずからのガウンよ護れ 疫病と闘う人を 尊き命を
喉元を過ぎれば忘るる それが人 マスクせぬ人日に日に増える
天上の青 の詠める
賑わいが
日ごと夜ごとに
戻るとも
元に戻らぬ
喜びもなし
かりそめ の詠める
〈失恋もまたよし〉
*三四郎美禰子出逢ひの池の面(おも)古鏡のごとく木々映しゐる
〈わが病に肥満は厳禁〉
*悩ましや美食と命ともに欲しけふも大食あすこそ耐へむ
〈後の世は現代をいかに見む〉
*千よりも多き悪鬼の手のむずと地球摑みて潰さむとせむ
〈友〉
*その不在胸に秘めゐて皆言はず会へざる歳の積もりてゆかむ
ゴネコ
<やはり、今でも、会ひたしと思ふ<>。
ツイードの 背広に顔を 近づけて ピース の香がせぬかと思う
パール の詠める
☆美容院四月(よつき)も行けず無精して前髪切るは工作バサミ
☆二ヶ月の夫在宅労われ気持ち嬉しや鰻は美味し
<上の子へ感謝>
☆行き遅く帰りは早く落ち着かぬコロナ前には戻れぬ日々か
<夫の勤務>
☆愛娘会えぬ闘い長すぎて想い遺して逝かれし父よ
<横田滋さん>
☆魂の怒りの叫びに向き合わずまた耳ふさぐマスコミ要らぬ
<横田めぐみさんの弟さん>
☆緑道は前後左右を確認しマスク外して深呼吸する
☆折り紙の紫陽花を手に一列で黄色い帽子の子らが進めり
<ソーシャルディスタンス>
★TPO無視で何でも手を振るはパブロフの犬かお手降り病か
<下こーごー>
★嘘ばかり虚しくないか御用記事真実のなき終われよれーわ
玉兎と茜馬 の詠める
梅仕事
みとせ漬けぬと
凶事
があると聞いて
今年も漬けた
かりそめ の詠める
*拉致されし子を思ふ親騙したる人でなし土井いまは地獄か
横田滋さん、有本嘉代子さんのご冥福をお祈りいたします。
温泉郷 の詠める
虹の足桃山城にはっきりと下ろして描く半円の弧を
日の出前数羽のつばめ目の前を飛び交っている朝焼けのなか
来光の写真に映るつばめ二羽つばさを広げ悠々と飛ぶ